事例紹介

事例紹介:株式会社金沢エンジニアリングシステムズ - 自社開発 KES P2P LinkにRemote.Itを採用

2024年4月5日

ネットワーク知識不要の遠隔接続サービス「KES P2P Linkシリーズ」のコア技術としてremote.itを導入いただいている株式会社金沢エンジニアリングシステムズ様。今回、同社の小西様にお話をうかがいました。

抱えていた課題、解決したかったこと

知識やスキルが無くても使える簡単で低コストなネットワークソリューション

当社は金沢市に拠点を置く1988年設立のシステム開発会社で、社員のほとんどがエンジニアの技術集団です。受託開発と自社製品開発の両事業を展開しており、日本全国にお客様がいらっしゃいます。

受託開発では、いわゆる組み込みデバイスに搭載するシステムを作っています。わかりやすい例ですと、自動車や決済端末などのファームウェアですね。特殊なモニターや魚群探知機、住宅設備のリモコンなど様々な機器の組み込みソフトウェアを受託で手掛けています。ほか、検査装置や産業機械のシステムなども創業当初から細く長く続けています。

8年ほど前から自社製品も開発しています。PLC(Programmable Logic Controller、プログラム可能な論理回路の制御装置)を簡単にIoT化できるゲートウェイ機器や、今回remote.itを採用した遠隔接続サービス、画像認識・処理AIや異常音検出AI、自動搬送台車や海外で展開している燃料供給装置など、主に工場で用いられる製品を多く提供しています。

こうした製品はネットワークにつないで用いられますが、セキュアなネットワーク接続方法として一般的に普及しているVPNは、一定のネットワークインフラの知識とスキルが必要であり、基本的に一部のお客様しか使えず、個別セットアップや導入のコストがかかります。当社の製品を使うエンドユーザー様には、ネットワークインフラの知識や高いスキルが無くても使用できる簡単で低コストなネットワークソリューションを提供したいと思っていました。

小西さん

「remote.it」を知ったのは、エンジニア仲間とのリモート飲みで紹介されたのがきっかけでした。すぐに興味を持ちトライアルで使ってみたところ、エンジニアとして「これは非常にいいプロダクトだ」と確信すると同時に「すごくもったいない」と思いました。「remote.it」の活用先は多岐にわたりますが、おそらく、その特長を正しく理解し自社のニーズにマッチするかを見極めて使いこなせる人材はとても少ないでしょう。

そこで、「remote.it」をもっと一般向けにして、ネットワークやアクセス制御を意識する必要のない、モバイル回線を介したL2接続のソリューションインフラとして商品化しようと考えました。イメージとしたのは市販のWiFiエクステンダー(WiFiで有線LAN間を延長接続する機器)で、WiFiではなくモバイル回線(4G/LTE)を使用する点が大きな違いです。

そうして開発したのが「KES P2P Linkシリーズ」です。一般的なVPNルーター等と違い、煩わしい機器設定や対応不可アプリケーション等がなく、あたかも同一のローカルネットワーク上に接続しているかのように、遠隔地にあるパソコンやその上で動作するアプリケーションを操作できます。さらに、接続元のコンピュータにソフトウェアをインストールする必要がないため、サポートが終了している古いデバイスやOSでも利用できますし、これからリリースされる新しいOSへの追随も意識する必要がありません。

Remote.Itを評価したポイント

P2P接続を何にでもすぐに使える、プロトコルとしてはすごくいいと直感

高く評価したポイントを具体的に挙げるならば、「グローバルIPが不要のため外部から攻撃されることがない」「P2Pでセッションを張るので遅延が少ない」という点です。P2P接続を何にでもすぐに使え、プロトコルとしてはすごくいいと直感しました。ただ、ポートが固定で指定できる必要があるなど、適用が難しい運用シーンも想像されたので、先にお話ししたとおり、ポート開放が不要という「remote.it」の魅力を活かしつつ簡単に遠隔でL2接続できるパッケージとして仕立てました。今までできなかったことができるようになるという点で画期的だと自負しています。

導入効果と今後の展望

誰でもどこにでもセキュアなネットワークインフラを構築できるようにしたい

現在、既設のネットワークを変更せずに遠隔接続が可能なソリューションとして「KES P2P Linkシリーズ」を提供しています。4G/LTEを介してのL2レベルのエクステンダーというのはこれまで市場になかったためか、既に大手企業を含む数社に導入が決まっており、問い合わせも非常に多くいただいています。

コロナ禍におけるリモートワーク等、シンプルに専用線の代替手段として用いるのもよいですし、工場に導入すれば技術者が現地に赴かずとも機器修理の要否を確認できるのでメンテナンスの運用そのものが大きく変わり、コストを劇的に削減できます。前述したように「KES P2P Linkシリーズ」は接続元のコンピュータにソフトウェアをインストールする必要がなくOSを問わないため、稼働期間が20~30年と長い機器にも適用できます。

遠隔でさまざまな業務ができるようになればコスト構造が大きく変わりますので、ビジネスモデルや企業経営まで変わる可能性があります。「remote.it」をコア技術として用いた「KES P2P Linkシリーズ」は、そうしたポテンシャルを秘めたサービスだと自負しています。

目下の課題は、提供価格に対する価値をいかに見い出してもらうかです。リモート接続によって生み出される価値をわかりやすく提示し、誰でもどこにでもセキュアなネットワークインフラを簡単に構築できるようにしたいですね。

企業名   :株式会社金沢エンジニアリングシステムズ

業種    :情報通信業(ソフトウェア開発/機器販売)

企業規模  :社員数140名

目標・課題 :ネットワークインフラの知識や高いスキルが無くても使用できる簡単で低コストなネットワークソリューションの提供

キーワード :IoT、ファクトリーオートメーション、組込み機器

導入ポイント:グローバルIP不要、低遅延、複数の個別セッションが可能

関連ブログ